
離婚や遺産分割について紛争が起こると家庭裁判所で調停が行われることがあります。調停は裁判所で行わるものの一般的に裁判といわれる訴訟とは全く性質が異なります。訴訟とは違う調停の特徴を3つ紹介します。
裁判所ときくと、裁判官が判決で紛争を一刀両断に解決する場所というイメージが強いのではないでしょうか。裁判所が判決をして紛争を解決する手続きは、訴訟という手続きで、調停とは全く別の手続きです。調停は、当事者全員が紛争の解決に合意しなければ、調停成立とはなりません。この点で裁判官が判決という形で判断を示す訴訟とは大きく異なります。
裁判官の多くは職業裁判官としてキャリアを積んできた人たちです。訴訟の場合、多くは職業裁判官のみが手続に関与しますが、調停の場合には、調停委員という人達が手続に関与します。調停委員は、専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選ばれます。調停委員は、なんらかの専門家やその地域である程度しっかりしているとされるおじさんとおばさんがなってると言った方が分かりやすいかもいれません。職業裁判官だけではなく、一般市民といわれるような人も手続きに関与するという点も、訴訟と調停の違う点のひとつといえます。
訴訟では当事者が法廷等に一堂に会して、相手方で主張等をしあいます。しかし、多くの場合、調停は、調停委員会が、交互に当事者の主張を聞いていきます。こちらが調停委員と話している間は相手方は控室で待機し、相手方が調停委員と話している間はこちらは控室で待機することになります。相手方本人の前では気兼ね等して言えないことであっても、調停委員であれば説明できて解決の糸口を見つけることができる場合もあるので、このこと自体は悪いことではありません。
ただ、相手方がどのような主張をしているかについても調停委員を通じて知ることになります。そのため、場合によっては、相手方が資料を提出していても、資料の提出について自分には知らされないということもあります。調停委員は、相手方が提出した資料を意図的に隠すことはしませんから、適宜相手方が提出している資料を確認した方がいいといえます。
このように訴訟と調停では大きく異なる点がいくつかあります。自宅に届いた書類が訴状ではなく調停申立書であれば、裁判とは違う手続きが行われるということになります。
離婚する際には、細かな離婚条件を決める必要があります。
今回は離婚条件を検討する際に役立つ指針について説明します。
なによりも先に、いつまでに離婚をしたいかを決める必要があります。
離婚することや離婚の条件について合意できていない場合、裁判所で訴訟等をして離婚をしなくてはなりません。
訴訟で離婚するためには、一定の離婚原因が必要ですから、今すぐ離婚ができるとは限りません。
仮に離婚原因があったとしても、協議離婚できないのであれば、訴訟をして離婚をする必要があります。
訴訟をして判決を得るのにも時間がかかります。
そのため、いつまでに離婚したいかを考えて、そこから逆算して手続きを進めていく必要があります。
できるだけ早く離婚をするために、離婚条件である程度譲歩をするということも考える必要がある場合があります。
私が離婚に関する相談を受ける際には、より踏み込んで、
①訴訟をして離婚をした場合にどの程度の離婚条件が認められるか、
②離婚条件を相手方が守るか(守れるか)、
③離婚条件を相手方が守らなかったときに強制執行が成功する可能性はどの程度あるか、
④将来事情が変わったことで離婚条件が変わる可能性があるか
等についてもお話をして、譲歩してもよい点について相談者の方と一緒に検討をしていくことにしています。
離婚をせずに同居を継続した場合に将来離婚できる時期や離婚条件に変化はあるか、別居した場合に離婚できる時期や離婚条件に変化はあるか等を考える必要があります。
どうでしたか?
考えなくてはならないことが多いと思われたでしょうか。
実際に離婚された方でもここまで検討しなかったという人も多いかもしれません。
ただ、離婚について紛争になった後になって相談に来られた人で、こんなはずではなかった、と言われる方は、ほとんどの方が今回記載したような事項の検討が不十分な方です。
考えるのも疲れるし、早く離婚してしまいたい、と思われるかもしれません。
離婚の提案をする前には今回記載した内容について検討されてはいかがでしょうか。
(信田)