
離婚に際して夫婦の実質的共有財産を分割するのが財産分与です。夫婦共有財産は半分ずつと簡単に言われることがありますが、誤解されていることも多くあります。
今回はよく誤解されていることを5つ紹介します。
1 離婚前にもっていた財産は財産分与の対象とならない
離婚前にもっていた預金等の財産についても財産分与の対象財産となることがあります。例えば、離婚前に持っていた預金が結婚後に費消されているような場合には、離婚前にもっていた預金の残高の金額を財産分与対象財産から除外することはできません。その他の場合にも財産分与対象財産とされることはありますし、離婚前にもっていた不動産の家賃収入も財産分与対象財産とされることがあります。
まだもらっていない退職金も財産分与の対象となります。問題はその計算方法です。ひとつの計算の仕方は、自己都合退職をした場合の退職金額を算出して財産分与対象財産とする方法です。また、退職日がある程度近い場合には、退職日における退職金額をもとに、退職金額を勤続期間で割って、婚姻期間を掛けて、財産分与の対象となる退職金額を算出します。
いまだ現実化していない金銭なので、退職金額とその他の財産の状況によっては、支払いに苦労をする可能性があるので注意が必要です。
未解約の保険も財産分与の対象となります。解約返戻金予定額を基準に財産分与対象財産として算出をすることになります。
こども名義の預貯金も財産分与の対象となる場合があります。こどもの年齢や預貯金の原資次第では、こども名義の預貯金であっても、両親が将来子どものために使う目的で、自身の財産を子ども名義の預貯金として保有していると考えられる場合があるからです。
負債も財産分与対象財産になるかは他の財産の状況によります。財産分与の対象となる+財産と-財産の合計が-になる場合には、離婚に伴って財産分与はされないことになります。言い換えれば、住宅ローンやカーローンが自分の名義になっている場合には、名義になっている自分自身で返済をしなくてはならないということになります。
離婚する際には、細かな離婚条件を決める必要があります。
今回は離婚条件を検討する際に役立つ指針について説明します。
なによりも先に、いつまでに離婚をしたいかを決める必要があります。
離婚することや離婚の条件について合意できていない場合、裁判所で訴訟等をして離婚をしなくてはなりません。
訴訟で離婚するためには、一定の離婚原因が必要ですから、今すぐ離婚ができるとは限りません。
仮に離婚原因があったとしても、協議離婚できないのであれば、訴訟をして離婚をする必要があります。
訴訟をして判決を得るのにも時間がかかります。
そのため、いつまでに離婚したいかを考えて、そこから逆算して手続きを進めていく必要があります。
できるだけ早く離婚をするために、離婚条件である程度譲歩をするということも考える必要がある場合があります。
私が離婚に関する相談を受ける際には、より踏み込んで、
①訴訟をして離婚をした場合にどの程度の離婚条件が認められるか、
②離婚条件を相手方が守るか(守れるか)、
③離婚条件を相手方が守らなかったときに強制執行が成功する可能性はどの程度あるか、
④将来事情が変わったことで離婚条件が変わる可能性があるか
等についてもお話をして、譲歩してもよい点について相談者の方と一緒に検討をしていくことにしています。
離婚をせずに同居を継続した場合に将来離婚できる時期や離婚条件に変化はあるか、別居した場合に離婚できる時期や離婚条件に変化はあるか等を考える必要があります。
どうでしたか?
考えなくてはならないことが多いと思われたでしょうか。
実際に離婚された方でもここまで検討しなかったという人も多いかもしれません。
ただ、離婚について紛争になった後になって相談に来られた人で、こんなはずではなかった、と言われる方は、ほとんどの方が今回記載したような事項の検討が不十分な方です。
考えるのも疲れるし、早く離婚してしまいたい、と思われるかもしれません。
離婚の提案をする前には今回記載した内容について検討されてはいかがでしょうか。
(信田)